アリとキリギリス3

アリとキリギリス3

ある夏の暑い日の事。

キリギリスは毎日楽しそうに歌ばかり歌っています。
大きな荷物を行列で運んでいるアリにキリギリスは言いました

「おい、アリさ〜ん。こんなに暑い日に、炎天下で何をしてるのさ〜?」

「やあ、キリギリス君。冬になって食べるためのものを毎日はこんでいるのさ。キミも歌ばかり歌っていると冬になって後悔するぞ。」

エンディングその1 But,Yes.

「アリさん。それはキミの願いだ。私の願いじゃない。
 冬になっても食べ物をたべたいキミの願いと、そんなことよりもいまのまま歌っていたいという私の願い。
私の願いはキミとは違うんだよ。」

アリは、自分の願いのために声をかけたわけではないんだけどな、と思いましたが、黙っていました。

自分に自身があるキリギリスには、他人の意見は入っていかずに、逆効果になることを知っていたからです。

「いつが気づくといいな
 自分を変えられるのは、自分だけだから」

そして冬が来ました。

何も変わることのない、自分のままのキリギリスは、自分らしい最後を迎えました。

「人生ってこんなもんさ」と、最後まで何も変わらない自分のままでした。

 

エンディングその2 Yes,But.

「アリさん。確かにそうかもしれない。
 良い意見をありがとう」

キリギリスは考えました。そして、歌をうたっているまえに、ダンボールと看板を用意しました。

「歌が気に入ったら、なにか食べ物をいれてください。」

自分では考えつかなかった人の意見が、いままでのキリギリスを、あたらしいキリギリスに変えたのです。

そして、冬になっても食べるものが尽きることはアリませんでした。

 

結び

ひとは、自分の考え以外の意見や見方を、ついつい拒否しがちなものです。

それは、自分が変化することに対する不安や恐怖などが、こころの奥にあるからです。

「自分はこういう人だから」
「自分には無理だから」

と、自分らしさという壁を、いままでの長年の自分の経験で、自分で築いてしまいがちだからです。

また、

「言われなくても自分でもわかっている」
「そんなこと知っている」

と、知らぬ間に、自分でここのろシャッターを閉めてしまうからです。
そうすると、新しいことが入ってこないまま、いつまでも、ずっといまのまま、なにも変わることがないのです。

But, Yes.
もしくは、But, But.

そうやって新しい考えや人の意見を、否定からはいってしまうのです。
人の意見に対して、
「ちがう、ちがう」
って、話し始めていませんか?

「自分が楽しいから」
「自分はこんなもんだから」
「自分で好きにやってるんだから」

そんな自分をいったん置いておいて。

Yes, But.
もしくは、Yes,Yes.

まずは、肯定からはいってみてください。

そうすると、自然と人の意見や見方がはいってきます。

否定するのはそのあとで。

いったん吸収してみましょう。

いつまでも変わらない、ひとりぼっちのキリギリスにならないように。

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