もうひとつの裸の王さま

もうひとつの裸の王さま

もうひとつの裸の王さま

作:キューピーじゅん

ぺてん師の仕立屋が、正直者だけが見えるという生地で服を仕立てて、王さまをだまして裸にしたというお話は、みなさんしっていますね。

こころの素直な少年が。「なんで王さまは裸なの?」といって、みんなが正直になれたというお話です。

じつは、このぺてん師の仕立屋、世界的なぺてん師で、王さまを裸にしたのは、この国だけではなかったのです。

世界中を旅しながら、世界中の王さまを裸にして回っていたのです。

ほんとに、どこの国でも王さまってやつは、見栄っ張りで強がりなものなのです。

お話で語り継がれている「はだかの王さま」は、王さまの中では、いい王さまだったのかもしれません。

ある国の王さまは、とても弱虫で気が弱い王さまでした。

気が弱い王さまについていた元気のいいすなおな側近が、
「王さま、なんで裸なんすか〜?」
と尋ねました。

気の弱い王さまは顔を真っ赤にして恥ずかしがり、
「その無礼者を死刑にせよ」と命じました。

その国では、その後誰も王さまが裸だとはいわなくなりました。

また、ある国の王さまは、とても明るいお調子者でした。

街をあるいているときに、花売りの素直な町娘が、
「王さまは、はんで裸なんですか?」
と尋ねました。

お調子者の王さまは、
「そうだよねー、やっぱ裸だよね〜?」
「でも裸は気持ちいいよ〜」

そういって、町中のみんなが裸ですごす法律をつくってしまいました。
町中の人たちは、顔を真っ赤にしながら過ごすことになってしましました。

また、ある国の王さまは、とても怒りん坊でした。

怖い王さまに裸だといえる者がいないので、みかねたお妃が、
「あなたはなんで裸なんですか?」
と尋ねました。

かっとなった王さまは、もっていた剣でお妃をころしてしまいました。
怒りのおさまらない王さまは、国じゅうのものがバカにしていると思ってしまい、国じゅうの人々を次々にころしてしまいました。

そして裸でひとりぼっちになりました。

ある国には、王さまが裸なんじゃないか?
裸だよねえ?と、誰かに言いたくて言いたくてうずうずしている正直者もいました。

いてもたってもいられずに、井戸に向かって
「王さまの耳はロバの耳!いや、王さまは裸だー!はだかの王さまだー!」
と叫ぶものも現れました。

はだかの王さまといっても、いろいろな国で、いろいろな王さまがいたのです。

自分の考えと同じ考えをもっている王さまが住んでいる国も、きっとあるでしょう。

住んでる国の王さまが自分には合わないなと思ったら、おもいきって他の国に引越しを考えてみるのもいいかもしれません。

引っ越した先の王さまがどんな王さまなのかは、先によく調べておくことが大切ですよ。

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