「はりねずみのジレンマ」をご存知でしょうか。
19世紀ドイツの哲学者、アルトゥル・ショーペンハウアーが生み出した寓話で、「やまあらしのジレンマ」とも呼ばれます。
刺々しい針をもちながらも、近づきたい。
でも、近づくと自分の針で相手をさしてしまうし、相手の針で自分も傷ついてしまう。
はりねずみのジレンマ。
それをテーマに、お絵かきお話しかきました。
はりねずみハリーのジレンマ
作 QP Jun
気の優しい はりねずみの ハリー
彼は 何十本もの針で覆われていました
針は 敵から身を守ってくれます
針は 相手を刺すこともできます
でも 気の優しいハリーは 自分から刺すことはありません
いつも なにかから身を守り
いつも なにかを遠ざける
チクチクの針
自分の中と外を いつも区切っておくための壁
それは チクチクした 心の壁でもあります
ある日 ハリーは 同じ針をもつ はりねずみのメリーに出逢いました
ハリーとメリーは すぐに仲良く遊ぶようになりました
だって おなじチクチクの心の壁をもった はりねずみ仲間ですから
ある冬の夜 ハリーとメリーは寒さにふるえ
暖まろうと おたがい いつもよりも近寄りました
近寄ったハリーとメリーは おたがいのチクチクの針がささり
ケガをしてしまいました
翌年の冬 また寒い夜がきたときです
ハリーとメリーは お互いを ささないように そうっと近寄りました
だけど そんなに離れていては 寒い夜には暖かくなれませんでした
また翌年の 冬の寒い夜
こんどは
あたたかくなれる
ぎりぎりまで
お互いの
針がささらないように
お互いが
相手を気遣って
近寄りました
そうやって ハリーとメリーは それからの冬を
ずっと 暖かく過ごせるようになりました
コメントを書く